MESSAGE FROM SANDEN TECHNOLOGY技術メッセージ

05新技術への取り組みと持続可能な製品開発

製品開発はどのように進めているのですか?
大河原:

サンデンでは、実験部門とシミュレーション部門が連携し、シミュレーション結果と実験結果の差異を検証・調整することで、より精度の高いモデルベース作成を可能にしています。これにより、実際の試作を減らし、次世代モデル設計の開発費用や期間の短縮を実現しています。
例えば、冷却システムの各コンポーネントの効率や圧力損失などの実験データをシミュレーションに取り込み、データベース化することで、さまざまな条件下でも一貫した性能が得られるようにしています。この手法により、性能検証の迅速化が図られ、開発手法はさらに先進化しています。

今後、ITMS技術はどのように進展していくのですか?
大河原:

統合熱マネジメントシステム・ITMSにおいて、サンデンは自社技術だけでなく、大学との共同研究を通じて人工知能・AI技術を導入し、車両の快適性を新たな次元へ進化させようとしています。
これは、AIがドライバーや乗員の好みや行動パターンを学習し、それに応じて温度・湿度管理を最適化する「NEXT ITMS」というもので、この技術は、未来の車両における「究極の快適性」を提供するための中核となります。

具体例として、家庭内の家電使用パターンや乗車タイミングを学習し、乗車前に車内の温度調整や除菌を自動で実施したり、信号や交通状況を解析し、バッテリーの冷却を最適化して電力効率を向上する技術が考えられます。さらに、乗員の好みをAIがセンシングし、好みのキャビン環境を自動設定したり、蓄積したITMSデータをもとに、効率的な制御を行い、電費の向上を図るといった技術も実用化できるのではないかと考えています。
サンデンのITMSの技術とAIの融合により、これまでにないパーソナルで快適な車内環境を実現し、持続可能で快適な移動体験を提供することを目指しています。

持続可能な地球環境という面で、ITMSはどのように貢献していきますか?
大河原:

ITMSは車両全体のエネルギー効率を向上させるため、温暖化防止にも貢献できる重要な技術と考えています。従来の冷媒は温暖化係数が高く、さらにフッ素成分による人体や環境への悪影響も懸念されていました。これに対応するため、各冷媒メーカーは新たな冷媒の開発を進め、より安全で温暖化係数の低い冷媒への転換を目指しており、サンデンでも冷媒の環境負荷を抑えるための技術革新を進めています。最終的には資源循環型社会の構築を目指しています。

サンデンの技術開発は、今後も進化を続けますか?
大河原:

サンデンの製品開発の根幹には、社会課題の解決に貢献するという強いモチベーションがあります。ITMSを通じて車両のエネルギー効率を高めることで、発電所の負荷を軽減し、エネルギー消費の最適化を図ると同時に、温暖化対策に貢献していきます。
このように、サンデンは自動車メーカーと同様、エネルギーや材料の使い方からアプローチし、持続可能な製品開発に取り組む姿勢を貫いています。
今後もサンデンの技術開発は、環境に優しい技術革新を進め、社会課題の解決に寄与することで、自動車業界における持続可能な発展を支えていきます。

本日はありがとうございました。
ITMSの未来
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