
他社も統合熱マネジメントシステムに取り組む中で、当社のITMSの優位性は、極低温時に補助的に使われる電気ヒーターの代替手段となる「ホットガスシステム」にあると思います。
従来のヒートポンプは、マイナス10℃以下の極寒環境では十分な性能を発揮できません。なぜなら、外気温が下がると空気中の熱エネルギーも乏しくなり、取り込める熱量が大幅に減少するからです。物理的にはマイナス20℃程度でも動作は可能ですが、空気中に熱エネルギーがほとんど残っておらず、暖房機能としては実質的に限界に達します。
このため、従来のヒートポンプでは補助電気ヒーターが必要でした。補助電気ヒーターは電力を使って直接暖房を行うため、極寒環境でも暖房機能を維持する役割を果たしています。しかし、補助電気ヒーターはコスト面や車両搭載スペースにおいてデメリットがあります。
サンデンの「ホットガスシステム」は、この補助電気ヒーターの代替手段です。コンプレッサーで生成した熱いガス(ホットガス)を直接暖房に利用するため、外気温に左右されにくく、安定した暖房性能を発揮します。従来の温水ヒーターに匹敵する出力(最大約8~10kW)を達成しており、極寒環境でも効率的に車内を暖めることが可能です。特にマイナス40℃といった極端な低温時でも、この「ホットガスシステム」により補助電気ヒーター無しで暖房が機能します。